酒場~META MALT'S~

第4回 ~おたより紹介② 刹那のおたより ( 後編 ) ~



手抜きマスター:


えだまめモンスター:


手抜きマスター:
これは、後編である。


えだまめモンスター:
はい。


手抜きマスター:
前回までのあらすじを簡単に説明すると、
アカペーンがゲームをやって発狂し、
俺たちは前回紹介できなかった残る4通のおたよりを
後編に紹介していくことにした。


えだまめモンスター:
アカペーンさんは、
これからどうなってしまうのですか?


手抜きマスター:
それはGod only knows...(神のみぞ知る)
まあ、なんとかなるだろう。


えだまめモンスター:
それでは、次のおたよりを読んでいきますね。


手抜きマスター:
君の心はけっこう淡々としているな。
その心持ちを、大切にしていきなさい。




おたよりNo.04
 ルイーダの酒場はこちらですか?

                P.N ( 魔王バラモス@勇者殺すぞ )



手抜きマスター:
ここはBar META MALT'Sである。


アカペーン:
そういえば、ここは酒場なんだった。


手抜きマスター:
なんだお前。いきなり現れたな、お前は何者だ。


アカペーン:
俺の名は勇者アカペーン。


手抜きマスター:
どうしたアカペーン。お前はニートだろう。
弾幕シューティングゲームはどうした。


勇者アカペーン:
詰んだ。
俺は今から勇者になる。


手抜きマスター:
シューティングゲームのプレイングを放棄し、突然の勇者宣言を始めたな。しかしお前は無職だ。
勇者というのは、そう簡単になれるものではないぞ。


えだまめモンスター:
魔王様からのおたよりで、
末尾には「勇者殺すぞ」と書いてありますが。


勇者アカペーン:
勇者たるもの、魔王からの果たし状には誠意をもって
応えなければならん。俺はいつでも、
戦う準備ができているぞ。


手抜きマスター:
その心意気は大したものだが、お前は勇者という職業の定義をいささかはき違えているな。つーかマジでどうしたんだいきなり。


勇者アカペーン:
勇者たるもの、たった一人で魔王に挑むことが如何に無謀であるのか、その意味はよく理解しているつもりだ。
だから俺は、この酒場で、共に魔王と戦ってくれるたくましい仲間を募りにきたのだ。


手抜きマスター:
そうだったのか。


勇者アカペーン:
いままで隠していたけど、実はマジで俺、ホンモノの勇者なんだよ。


手抜きマスター:
知らんがな


勇者アカペーン:
いきなりそっけない返事が帰ってきたな。


手抜きマスター:
いやマジで知らんぞ。現実をみろ、アカペーン。
ここにお前の望む旅のお供はいない。
一人で行ってこい。一人で魔王に挑むたくましい勇者も、
過去には存在したぞ。


勇者アカペーン:
俺は過去を振り返らない男だ。
マスターも、この酒場をただの飲食店だけに留めておくつもりはないだろう。新しい業務を開拓しよう。


勇者アカペーン:
ということで、ここは今から「ルイージの酒場」だ。







手抜きマスター:
いきなり俺の店の名前を薄ら寒いネーミングにかえやがったな。
なんだルイージって。というか全体的に意味がわからん。
マジで怒るぞ、俺。


勇者アカペーン:
今日のマスターは「マジで」が多いな。
要するに、マスターの酒場も、どこぞのル○ーダの酒場のように、
冒険者の斡旋所としての業務を開拓すべきじゃないかということを、提案したいんだ。


勇者アカペーン:
勇者たる俺は、ここで頼もしい旅の仲間を引き連れて、
魔王○ラモスと対等に戦いあうことが出来る。
マスターも、冒険者を店に呼び込むことで、酒場の利益を倍増させることができるだろう。
どうだ?Win-Winの関係だと思わないか?


手抜きマスター:
お前Win-Winって言葉を使いたいだけだろ。


えだまめモンスター:
まず、ル○ーダの酒場って、なんですか?


手抜きマスター:
ゲーム「ドラゴンクエスト3」に登場した、
主人公の味方パーティを自由に編成できる酒場のことである。


勇者アカペーン:
いきなりマジレスが帰ってきたな。


えだまめモンスター:
マジレスって、なんですか?


手抜きマスター:
ネットスラングで、「真面目な回答」を意味する。


勇者アカペーン:
(やりづらいな……。)


手抜きマスター:
とりあえずお前が勇者になって、魔王と戦いたいという気持ちは
よく分かった。アカペーン。協力しよう。
この酒場は今から、冒険者の斡旋業務を開始する。


勇者アカペーン:
いきなりマスターが協力的になったな。


手抜きマスター:
今日のアカペーンは「いきなり」が多いな。
それでお前、今日はこの酒場で、
どんな仲間を連れて行きたいんだ?


勇者アカペーン:
そうだな……。俺と共に戦うたのもしい冒険者たち……
職業は……。





女僧侶
女戦士
女魔法使い


勇者アカペーン:
これでいこう。


手抜きマスター:
しね。


アカペーン:


手抜きマスター:
次のおたよりに移ろう。




おたよりNo.05
 ウホウホウホホホウホ?



手抜きマスター:
ウホッ


アカペーン:
ウホッ?


手抜きマスター:
お前、「勇者アカペーン」じゃなかったのか。
魔王と戦ってこいよ。


アカペーン:
マスターからの無慈悲な中傷で、メンタルがボロボロに砕け散った俺は、勇者という肩書きを外し今はしがない風来坊でいる。


手抜きマスター:
風来坊だったのか。つーかメンタル弱すぎだろ。
豆腐か。


アカペーン:
豆腐、うまいよな。


手抜きマスター:
知らねーよ。


えだまめモンスター:
ウホホホウホウホウホホウホウホ。


アカペーン:
マスター、これは一体?


手抜きマスター:
ウホホウホウホウホホホーイ。


アカペーン:
マスター!?


えだまめモンスター:
ウホウホウッホ


手抜きマスター:
ウホホホーイ。


アカペーン:







アカペーン:
ゴリラ語!?


手抜きマスター:
ウホ。


えだまめモンスター:
ウホホホウホウホ、ウホウホウホッホ、ウホホ。


手抜きマスター:
ウホホウホ、ウホホホホウッホ、ウホホホーイ。


アカペーン:
なんてこった……完全に蚊帳の外だ。
一体どうして、こんなことになってしまったんだろう。














「ごめんください」


???:
はじめまして。
冒険者たちの斡旋所、「ルイージの酒場」は、
ここであってますか?


アカペーン:
あ、あなたは?


無理ーツ:
僕の名前はスイーツ王「無理ーツ」。
勇者アカペーンの冒険者募集の紙をみて、
この酒場にきました。


アカペーン:
マジか!!マスター、ちゃんと募集してたんだ!
君は女の子?


無理ーツ:
男の僧侶です。


アカペーン:
男!!


無理ーツ:
あ……ごめんなさい。男じゃ駄目でしたか?
あなたが勇者アカペーンさん?


勇者アカペーン:
いかにも。俺が勇者アカペーンだ。
まさか本当に俺と共に戦ってくれる仲間が来てくれるとは思わなかった。この際男でもいい。打倒魔王○ラモスのため、共に戦おう。


無理ーツ:
本当ですか!ありがとうございます!
たたかいはできませんが、ちりょうのつえがつかえます。
アカペーンさんのお役にたてるよう、精一杯頑張ります!




スイーツ王「無理ーツ」が仲間になった!


勇者アカペーン:
スイーツ王とはなにか。


無理ーツ:
あ、僕、本職はパティシエです。


勇者アカペーン:
スイーツ!


無理ーツ:
お菓子作りには、自信があります。
お腹がすいた時には、いつでも言って下さい。
おいしいスイーツを、アカペーンさんのために作りますよ!






勇者アカペーン:
ウホッ!!いい男…!





手抜きマスター:
お前それが言いたかっただけだろ。


おたよりNo.06
 アカペーン君、男は顔だと思わないかね?

                   P.N ( 手抜きマスター )



手抜きマスター:
ちょっと尺が足らなくなってきた。
ここから先は少し駆け足でおたよりを紹介していこう。


アカペーン:
ちょっと待て。


手抜きマスター:
なんだ。


アカペーン:
これ送ったのお前だろ。


手抜きマスター:
知らんな。


アカペーン:
マスターはひどい男だな。見損なったぞ。
よもや自作自演をしてまで、この俺を貶めようとは……。


手抜きマスター:
だが真理だ。男は顔。
顔の残念な男には、敗者としての運命しか残されていないのだ。
そうは思わないかね、無理ーツくん?


無理ーツ:
あ、えっと、初めまして。


手抜きマスター:
初めまして。BAR「META MALT'S」へようこそ。
俺はこの店のマスター、名を「手抜きマスター」という。


えだまめモンスター:
専属メイドの「えだまめモンスター」です。
無理ーツさん、これからよろしくお願いします。


アカペーン:
無理ーツくんは頼もしいスイーツ職人僧侶系男子だ。
共に魔王○ラモスを倒すため、戦おうぞ。


無理ーツ:
素敵なお名前だ……えだまめモンスターさん。
しなやかで透き通るようなその白い肌。
メイド衣装を身に纏い甲斐甲斐しくもお店に尽くす貴女の心には、美しく清らかな純潔の魂が宿っている……。


えだまめモンスター:
えっ・・・・・・?


アカペーン:
んっ?


無理ーツ:
あなたは一途で純真な女性だ。この酒場に初めて足を踏み入れたその時から、私は貴女の虜になってしまいました。


えだまめモンスター:
そ、そんな・・・・・・。
わたし、この名前を褒められたことなんて、
はじめてです・・・・・。


無理ーツ:
名前の裏に隠された、貴女の心のひたむきな優しさに気付けない男は、男として失格です。
枝豆の深緑をたずさえた、かわいらしいモンスターさん。
私と一緒に、快晴の下のえだまめ畑を歩きましょう……。


えだまめモンスター:
は、はい・・・・・・。ありがとうございます・・・・。
・・・ふふっ、ごめんなさい。こんなに優しい言葉を下さったの、あなたが初めてで・・・・。
無理ーツさん、大好き・・・・。


無理ーツ:
(……あっ、これ、完全にヤバい流れだ)


手抜きマスター:
早速、えだまめくんを落としにかかってきたな。
色男か。無理ーツくん。


アカペーン:
ホアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼亜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


手抜きマスター:
見たかアカペーン。
男は顔が全てなのだ。


アカペーン:
キエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエユルさんぞムリツー!!!!!11!111111111111!女ったらしのセクシャル僧侶(プリースト)がああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


無理ーツ:


手抜きマスター:
いやごめん。
正直俺もちょっと引いた。


アカペーン:
プキィィィィィィィィィィィィイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!1111111111111111111111








おたよりNo.07
 わたし正恩。
いまどこにいるのでしょうか・・・。

                   P.N ( 金正恩 )



アカペーン:
無理ーツは死んだ。


手抜きマスター:
おい。


アカペーン:
死んだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


手抜きマスター:
正恩さんはどこにいるんだ。


アカペーン:
もう戻らない。


手抜きマスター:
お前が死んでるじゃねーか。
金正恩さんがどこにいってしまったのかと聞いているんだ。


えだまめモンスター:
無理ーツさん・・・・・・
いい人だったのに・・・・・・・






アカペーン:
ふむ。


手抜きマスター:
うむ。
真面目にやれ。


アカペーン:
金正恩ってあれだよな、
北朝鮮の第一書記だよね。


手抜きマスター:
お前そういう所だけは無駄に博識なんだな。
ニートの癖に。どこから情報を仕入れてるんだ。


アカペーン:
ちなみに、北朝鮮の前代の最高指導者は「金正日」だが、
正日の死後、その後を継いだ息子の正恩は正日の業績を讃え、金正日が持っていた「総書記」という肩書きを金正日だけのものとし、最高指導者としての自らの肩書きを「第一書記」としたらしい。


手抜きマスター:
聞いてねーよ。なんで北朝鮮だけ無駄にこんな詳しいんだ。
やはりアカなのか。ニートか。


アカペーン:
ニートではあるが、共産主義者ではない。あとニートの癖に博識というのも心外だ。
とにかく、最高指導者に就任したばかりの正恩だが、裏側では北朝鮮軍部との権力争いなどもあるようで、その動向は少し不穏になってきている。


手抜きマスター:
普段何をしているのかはよくわからないが、最近公開された金正恩の写真では、杖をついて足を引きずらせてる姿が映ってたな。


アカペーン:
足は引きずらせてたんだっけ?よく覚えてないな。
とにかく、健康面でも支障があるのは確からしい。


手抜きマスター:
現実の金正恩がこんな不透明な動向である故に、
金正恩の魂がこの酒場に紛れ込んでしまったとしても
なんら不思議な現象ではない。


アカペーン:
いや紛れこんでねーだろ。
海外のSNSに顔写真付きで出没していたという情報も、
何処かで耳にした気がするな。


手抜きマスター:
金正恩という概念は、インターネットというフィルターを通して拡散し続けている。
あなたのみつけた書き込みも、それは分裂した金正恩のうちのひとつであるのかもしれない。
あなたも金正恩。わたしも金正恩。……。


アカペーン:
怖えーよ。ホラーか。
というか、実在の人物だし、あんまふざけたこと言ってると怒られるぞ。


手抜きマスター:
ごめんなさい。







手抜きマスター:
というわけで、おたよりの紹介は以上だ。
2回に分けて、めちゃ長くなってしまったな。


アカペーン:
次はいつになるんだろう。


手抜きマスター:
3~4通ずつのスパンで、
おたよりがたまってきたら、また少しずつ
回を重ねていくことになると思う。時間がかかるかもしれないが。


えだまめモンスター:
うう・・・・・・・無理ーツさん・・・・・・・。


無理ーツ:
地獄の縁から蘇ったぜ!


えだまめモンスター:
無理ーツさん!!


アカペーン:
はっ!!!!!!


無理ーツ:
俺の魂は不滅……でも、そう長くはここにいられないかもしれません。
また、会える日がくることを願ってます。えだまめモンスターさん……。


えだまめモンスター:
また、遊びに来て下さいね。……。


アカペーン:
自己称が「僕」になったり「私」になったり「俺」になったり、
忙しいやつだな。


手抜きマスター:
別に忙しくはないだろう。




手抜きマスター:
それでは、また次回。







~おわり~


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